缶コーヒーが飲みたかった。小銭入れから200円を取り出し自販機に入れようとした。
1枚の百円玉が手からこぼれた。そいつは当然の様な顔をしつつ、自販機の下に去って行った。
慌ててスカートのお姉ちゃんが近くにいないことを確認し、しゃがみ込んで顔を地面に付けつつ覗き込んだ。眼前に広がる埃地獄。
しかし思いがけず、僅か5cm奥に転がっていた小銭と目が合った。埃を怒らせないよう、指先で慎重にアクセスした。
ずりずり取り出したら10円玉だった・・・。
更に5cm奥に潜んではったもう一枚の小銭とも目が合った。君も10円玉か。
更に5cm奥で寝てはった彼、ようやく100円玉。でも妙に汚れとって、わしの落としたのとちゃうみたい。
お姉ちゃんが一人こっちに近付きつつあったけど、此処までは近寄ってこなかった優先権を主張して近寄らせへんかった。
やけくそでガサゴソしたら、それらしいわしの100円玉と奇跡の再会。思わず涙を拭おうとして、自分の手ぇ見て止めた。汚すぎ。
コーヒー1缶得したけどあんまし嬉しくない。